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1/25:「聖結晶アルバトロス」総括(上)

「聖結晶アルバトロス」の最終巻である第5巻が発売されて、1週間が経ちました。

みなさん、5巻は買っていただけましたか?
いかがでしたか?


ボクの初連載、「アルバトロス」。連載期間はほぼ1年でした。ボクがこの先どういう人生を送るかはわかりませんが、この作品はボクが死んでも忘れられないものになると思いますですよ。

このブログを開いてからも、質問・感想等、読者の方から色々メールをいただきました。アルバトロスはかなり「後ろが重い」話というか、伏線が沢山張ってある話だったので、バックステージでもブログでも、物語のことについてなかなか話しにくいところがありました。しかし、最終巻も出たことですしっ。「アルバトロス」が一体どういう話で、どういう経過を辿ったのか、少しまとめたいと思うんですよ。


今日明日のブログでは、アルバトロスの総括をいたします。
終わった連載についてウダウダ言うなと言われるかも知れませんが、しばし我慢してください。アルバについて詳しく話すのはこれで最後ノーノー



(連載前にアルバの色決めをした時の見本)

「アルバトロス」の元になった話は、そもそもサンデースーパーに載せた「情報怪盗アルバトロス」でした。「メイド服で泥棒する女」というワンアイデアだけでぶちあげたドタバタ怪盗もので、ストーリーも設定も全くありませんでした。

その読み切りを、当時の担当氏の「キャラクターの目的が物語の目的になってないと、上のレベルにいけない」という有益なアドバイスに従い、「泥棒しないと死ぬ女」という設定を加えて改編したのが、サンデー本誌読切になった「緋石の怪盗アルバトロス」です。幸い、この話はアンケートでそこそこの人気を取り、本誌連載の企画の俎上にあがるようになりました。そこで、ボクは週刊連載に耐えられる設定の束・・・つまり「世界」を「アルバトロス」の中に入れ込んで行ったのです。もちろん、大張り切りですよ。

ボクが「アルバトロス」の主幹要素として考えていたのは下の3つです。

●貴種流離譚
●元素を燃やして生きる生物の世界
●二面性ヒロイン萌え


「貴種流離譚」というのは難しい言葉ですが、「貴い生まれの人がある理由で身をやつして漂流する」という物語のことです。「スターウォーズ」、みんな知ってますよね、これなんか典型的な「貴種流離譚」です。日本人が昔から好きな物語の定番形式です。しかも、「アルバ」は念が入ったことに「主人公とヒロインの両方が貴種」であるというものでした。主人公がヒロインのルーツを辿っていくことで、自分自身のルーツを探ることになる、というのが、ボクの考えた大きな物語の流れだったのです。ボクはとにかく「スターウォーズ」大好きだったので、この設定は是非に使いたいものでした。

そして、その物語のベースを彩るモチーフに採用したのが、「元素で動くモノバイル世界とその階級闘争」でした。周期表を世界観に組み込む、というのは自分でも快哉を叫びたいほどの素晴らしいアイデアでした。今でも、そう思います。周期表ネタを考えついた瞬間、これはオレの運命変わったな!と思ったぐらいです。この設定あればこそ、今まで描いたことのないバトルものに挑戦する勇気も沸きましたし、ユウキというこれまた今まで描いたことのない真っ向勝負の主人公も生み出すことができたのです。


上の二つの大きな設定を元に、実際のマンガ世界をどうやってドライブしていくのか。それが「アルバトロス」の場合、問題でした。

一応建前は「バトルもの」だった訳ですが。この「バトル」にはかなり苦しみました。何しろ、「アルバ」のバトル以外の要素は企画を初めて1ヶ月もしないうちに完成していたのに、バトル要素を入れる過程に1年かかりました。初めての連載で、作品世界を全て自分の好きなもので埋めないと不安なボクにとって、このバトルものという設定は巨大な不確定要素ではありました。へなちょこコメディばっかりやってきたボクが、迫力あるバトルが描けるかどうか・・・これは、ボクにとってもやってみなければわからない所でした。

そこで保険をかけて、バトルと言っても、ユウキとアルバトロスの力をリンクさせて、常に女の子がそばにいるような設定にし、具体的な物語の運営はアルバトロスの変身とへっぽこな活躍を魅せる「萌え」を軸に行う、というのがボクの胸算用だったのです。ボクは変身ヒロイン大好き男なんで。この物語の成立の過程のそもそも論から見ても、この物語で「萌え」をメインエンジンにするのは正しい判断のように思われました。

上の3本柱を作ったボクの脳内の「アルバトロス」のイメージは、昔のマンガで言うところの、まさに「ウイングマン」みたいなノリでやるか!って感じだったのです。チェイング!


連載が始まった時点で、ボクはそれなりの準備をしていたつもりでした。ええ。もちろん、不安はありましたが、自信の方が遙かに大きかったです!これはいける、と!まあ、「失敗するかも・・・」みたいな気持ちで始める連載なんかやらない方がマシですが!1話で予想以上の好反響(本当にすごかった)があった時には、よしゃー!ってなもんですよ!



・・・・うーん。



ところが、物事ってのはなかなかうまくは行かないものですねぇ。


いくら素晴らしいコンセプトがあっても、それを具体化できなれば、意味がないの!複雑な設定が錯綜する世界、しかも、主人公が説明を聞いてからでないと行動できない巻き込まれ型のストーリー形式、更にバトルが毎回必須で求められる、それだけのタスクを毎回18pのなかでバシッとこなして作品を作り上げるということは、初連載のボクにとっては、相当に難しい仕事でした。コンセプトをわかりやすく提示すること・・・それを堅持すること・・・・高い壁でした!多すぎる「保険の設定」が、物語のスムーズな進行の足かせになっていることに気づくのに、時間はかかりませんでしたね。

しかし、ボクは自分の作った世界観の要素を、ただの一つも捨てることができなかったのです。

その結果、行き場を失い、ページ内に入りきれなくなった設定がどんどんと崖から転げ落ちていきました。かと言って、残った設定も他の設定とのしがらみから独り立ちできず、もやもやを残したままの状態になってしまったっ。最後の方は読者の方々も気づかれたと思いますが、女の子の姿もほとんどありません。どうなってんだ、こりゃ。最初のコンセプトは完全に霧散していたのです。もちろん、週刊連載というのは物語のその時のノリや読者の反応で、どんどん構想が変わっていくことは必然ではあるにしても・・・。いやはや、力不足でした・・・いや、ここは経験不足だったと言い換えさせてくれ!

ま、毎回30Pあったら描けたけどね(無茶言うな)!

残念なのは、ボクの心のなかには「もし、もう一度1話から描き直したら、全然違うものが描けるのに」という気持ちがあることですな。「やるだけのことはやった。終わっても悔いはない」とは全然言えません。悔いは大いに残りました!特に、再登場後のアイビスには、もう切腹して詫びても足りないぐらいです。キャラを不誠実に扱うとは、まさにこのこと。アイビス、本当にごめん!堪忍じゃあ!


まあ、ここに書けない事情冷や汗もそれなりにありますが、色々ひっくるめて、大いに勉強になりました。次の連載はこの作品で得た教訓が大いに生かされると思います。生かさなきゃね。



そうそう、色々な伏線も回収できないまま、残ってしまいましたね。
特に読者の方からよく質問をいただいたのは、前にブログでも書いた↓

アルバトロスの髪が黒くなった時があったけど、あれは何だったの?
アルバトロスはなんでダイヤモンドしか素石に取れないの?
そもそも、アルバトロスはコモンじゃないのに、なんで炭素で動いているの?


ここら辺は特に、まさに「アルバトロスが何者で、どこから来たのか?」「いや、そもそもユウキは何者だったのか?」という謎に直結する伏線だったのです。

明日の「下」では、ここら辺の設定話をしたいと思います。
おったのしみに〜。
wakakitamiki * 仕事 * 17:34 * - * - * pookmark
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