<< 7/8:フフフ | main | 7/10:KOIサマーコンサート編&1学期総括 >>

7/9:戦争のはらわたのシュートフェイント

ワールドカップも待っただなかだけど、今回のワールドカップほど「戦術」を感じた大会はないかも知れない。「代表チームはクラブチームと違って寄せ集めの集団。だからワールドカップのレベルはチャンピオンズリーグほどじゃない」みたいな時代は終わったんだね。ベルギーとか色んなプランあったもんね。選手達の戦術理解度も異様に高い。ネット掲示板のジョークで、「グアルディオラがその時に監督してる国の代表がワールドカップで優勝する」みたいなのがあったけど、プレミア勢の活躍がホント目立つ。すごい選手が考え走る時代。オシムは10年前からずっと言ってるけどね。

 

試合見てると、ついついマンガに結びつけて考えてしまう。

 

マンガってのはドリブルみたいなもので、ストーリーは作者と読者の間にあり、作者はストーリーという球を、読者のちょうど手の届きそうなところに置きつつ、食いつかせて、スッと移動させる。そしてまた読者の近くに置く。この「食いつかせる距離感」というのが実に重要で、置いてけぼりを食わせてしまってもいけないし、相手に追いつかれてしまってもダメ。でも何よりまず食いつかせることが大事だ。

 

映画を見た。

 

「戦争のはらわた」

戦争映画の名作と言ったら必ず名前が出てくる独ソ戦の映画。実は未見でずっと前にDVD買ったんだけど吹き替えがなくって放置。そしたら、吹き替えが入ったBD版が出たので購入。仕事しながら流した。

 

ストーリーは、勲章が欲しい器の小さい上官の要望に応えなかったジェームズコバーンの小隊が、上官に裏切られて戦場で孤立させられる話。見る前のイメージでは、プライベートライアンとか、ジョニーは戦場に行ったみたいなホントに直接的に戦争の悲惨さを訴えるような話だと思ってたけど(当時はこれでも十分過激だったんだろうけど)、仁義なき戦いみたいな話だったので少し意外だった。

 

この映画は本当に上官がムカつく奴で、そのイライラとその背景としての戦争の色々なうっとうしい描写もあるんだけど、不思議と、ある種の「快楽」が戦いのシーンに漂う(これも最後にきいてくるんだけど)。しかし、この映画を名作たらしめてるのはラスト。裏切りで全滅した小隊から生き残ったジェームズコバーンが、上官を追い詰める。ここで上官を撃ち殺しても名作だったと思う。ところが、ここでジェームズコバーンは上官を殺さない。なんで?なんで殺さない?ここですごく見てる人に考える機会をこの映画はふんだんに与える。そしてこのラストが象徴してるものこそが、戦争だと思い至る。銃も扱えない人間が命令し。暴力を嫌悪する人間が暴力を行使する戦場。戦争も上官も大嫌いだけど、戦場が一番居心地のいいコバーン。最後の高笑い。

 

ここで見てる人の数だけ答えが発生する。割り切れるものは、そこで終わってしまうけども、割り切れないものは、延々と解釈し続けることができる。1年に一度は見たい映画だと思う。

wakakitamiki * - * 23:59 * - * - * pookmark
このページの先頭へ