11/21:なまずが部屋から出てきたよ。
2009.11.21 Saturday
その昔、ボクがアシスタントをやめて、例によって例のごとく、マンガも描かず日がな一日ゲーム暮らしという楽しい暗黒時代を暮らしていた頃。東京の江古田で小さい飲み会があったんですよ。連載を目指す新人作家が5人集まって。で、まあ、フツーに飲んで、がんばろうーなんて言って、さいなら、って別れたんだけど。
そのうちの3人がその直後、連載を始めたんですよ。
ボクはその飲み会の後も全く変わらずくすぶっていて、その3人を見て大層ほぞを噛んだものです。あの時は同じ立場に見えたのに、その先に見えてたものが全然違った。ボク、何にもしてないなあ・・・と。さらに、その3人のうちの2人が小学館漫画賞を獲るに至って、いよいよ、ボクは落ち込んだわね。
でも、それがよかったのかも知れない。先に走っていた人たちの、見えない背中をトボトボ追いかけていたら、いつの間にか連載が獲れた。あの時はごくフツーの夜だったのに、今では、本当に特別な夜だった。ボクにとっては。ま、他の人たちはもうそんなこと忘れているんだろうけど。
そして、その夜の5人の最後の1人が、この度単行本を出した。
たかぎ七彦氏の「なまずランプ」だ。

彼は元サンデー作家でかつてのアシ仲間。僕らは全然雑誌に載らないので、お互い「年載作家」と呼び合っていた。そのぐーたらな2人が、週刊連載をやっているというのは不思議なものです。とにかく江戸時代に関しては膨大な知識を持つ人で、ある日喫茶店で会って一心に何か描いているから何かな?と思ったら、紙一杯にまげの絵を描いていた。まげだけをあんだけ描く人も珍しい。たかぎ氏も紆余曲折があったが、遂に得意な世界を描ける場を得て、いきいきとしている。これは是非読んでもらいたい。
たかぎ氏は、あの飲み会のことを覚えているんだろうか・・・。




