4/4:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その8(最終回)

9・ダーリンベイビ
10・Birth



らぶこーるの後に続く、アンコール的位置づけの曲。スターになったかのんちゃんが最後にプレゼント。そして、エピローグのインストで、ショウは終わりぬ・・・。


「ダーリンベイビ」は黒須克彦さん作曲。この人が神のみに出して下さったデモは全部ボク好みで、1期のキャラソン選びの時にかなりプッシュしたところ、ここで採用してもらえました。どこか懐かしくって、エネルギーがあって、そして切ない曲調、まさにポップソング。エンディングにふさわしい、後を引く曲だと思います。フェイドアウトで遠ざかっていく感じがまた良いよね・・・。松田Pが入れてくれたであろう、最初のかのんちゃんのカウントも効いてる。


実はこの曲で、ボクは声で参加できるはずだったんですよねぇ・・・この曲の観客による「ヘイ!ヘイ!」という合いの手、沢山の人でやった方がいい、ということで手が空いてる人にスタジオ招集がかかっていた。ボクは当然行くつもりでしたよ、ええ。ところが当日、風邪!一昨年の正月以来の風邪が、よりによってレコーディング当日だって・・・。という訳で、咳払い、手拍子に続く声のCDデビューは露と消えたのでした。まあ、いない方がいいと思うけど・・・。


という訳でかのんちゃんのデビューアルバムはエンディングを迎えた訳です。


もうそろそろ、Birth、飽きるほど聴いたわ・・・という方もいらっしゃると思いますが、そういう方はこういう曲順で聴いてみてはいかがでしょうか?



「コイノシルシ」
「ALL4YOU」
「ハッピークレセント」
「LOVE KANON」
「恋、ヨロシクお願いします!(シトロンの曲)」
「らぶこーる」


(アニメかのん編)
(UDXイベント)


「Yes-today」
「ダーリンベイベ」
「ウラハラブ」
「想いはRain Rain」



・・・・・これはどういう順番かと言いますと、これは「収録順」です。東山さんがかのんちゃんとして録音した順番。東山さんは(スタードライバーも同時に出たけど)、かのんちゃんで初めてメインキャラやって、歌の収録もやって、イベントもやり・・・そう思って聴くと、東山さんとかのんちゃんがどんどん一体感を増していってるのが、すごくわかる。18才の青春。レコーディング行く度に東山さんの歌がよくなっているので、これで終わりなんてもったいない。

個人的にも、このアルバムは色々面白い体験ができました。ジャケットやライナーノーツ、後DJCDも関わりましたし、素人が厚かましいことに曲選びやアレンジ、歌い方にまでくちばしを突っ込み、もう原作と同じぐらい思い入れのある「作品」になったと思います。アニメと原作を結ぶ、世界観の一部と言っていいです。松田Pや甲さん始めレコーディングスタッフの皆さん、全曲作詞してくださったzoppさん、作曲編曲をしてくださった皆さん、何より東山さんには改めて感謝です。そして、アルバムを買って下さった皆様に、御礼申し上げます。


是非、この先もかのんちゃんの歌が聴きたいなぁ・・・!セカンドアルバム・・・ううっ・・・。

wakakitamiki * かのんBirth全曲レビュー * 11:53 * - * - * pookmark

3/21:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その7

8・らぶこーる


アニメかのん編のとどめの1曲。さらに、かのん編に関わった者としても涙なしでは聴けない曲。



「らぶこーる」は、「LOVEKANON」等と同様、僕がブログで書いたかのんちゃんのアルバムのラストナンバーで、タイトルしかなかった曲だったんだけど、松田P的には「これ、かのん編の締めくくりにするっきゃないでしょ!これがボクらの"愛おぼえていますか"じゃあ!」と。最初の打ち合わせは盛り上がりましたよ。



しかし、口で言うほど簡単でないのは明らかで、駆け魂がなくなったかのんがスターとして生まれ変わる曲。原作では相当な名曲な雰囲気なんだけど、そりゃマンガで描くの簡単だわ。音ならないから。しかし、アニメだと具体的な音として説得力が必要なので。デモ選びは難航いたしました。まずかのん編の候補曲のなかから選び、その後改めて「らぶこーる」用のデモを集め、みんなで聞いたものの・・・これという曲がなく・・・。何かこう、印象として、「大人の名曲」が多かった訳です。アイドルという範疇ははみ出してはいけないからね。



これは難しいぞ・・・。と、思って、ボクは何を思ったか、「ららら・・・ なにもみえない・・・暗闇のなかで・・・・」みたいな「曲のイメージこんな」という感じの文章の羅列を書いて、打ち合わせの後に提出した。これは後から考えるとすごい恥ずかしい。歌詞なんて1巻の「集積回路の夢旅人」しか書いたことないボクであるのに、なぜこんな大技が繰り出せたのか。かのん編の打ち合わせを重ねて、色々仕上がっていたんだね・・・。倉田さんが「そのうちあんた曲書いてきそうやな」と言ってましたが・・・。しかしもちろん、これはあくまでメモ書きで、当然ながら作詞家の人に後でちゃんと書き直してもらおうと思っていた訳です。



そしたら、それからしばらくして、ボクのメールボックスにメールが。


「先生の歌詞を元にデモを集めました!」だと!な、なに〜!ダウンロードして聴いてみたら、どのデモもどもデモも「なにも〜みえない〜」「な〜に〜も〜みえな〜い〜」。こ、これは恥ずかしい・・・!こんな調子で何と34曲。えらいことになったと思った。こんなことされたら、もう後には引けない。スタッフがいないところでひっそりと全デモを聴くハメに。自分の夜中の作文を大音量で何時間も聴く苦しさ。な〜にも〜な〜にも〜・・・。



そしたら、そのなかで一つ、ボクのイメージにあってる曲がありました。それが川崎里実さん作曲のデモだったんです。川崎さんのデモは曲自体も良いんだけど、「国語的に正しい」というか、ボクがこういう風に歌詞を感じて欲しい、という文章の流れと音楽のメロディ・アレンジの区切りがピッタリ合ってた。歌詞はハズかしいけど、曲はこれがいい!と言うことになりまして、そこからみるみるうちに曲が完成しました。



しかし、そこから苦労したのが「2番」。2番の歌詞ですよ。ボクの書いたメモは1番の歌詞分しかなかったんです。そりゃそうだ、メモだから。それが正式採用されたことで、今度は既にあるメロディに合わせて、2番を考えることになってしまった。勢いで書いたメモと違って、こっちはもう地獄。素人なんで、ヘタに装飾的な言葉は使わないように決意したのが、余計に難しかった。ボクの詩的ボキャボラリーを来世の分まで使って、2番も作りましたが・・・ああ、もう2度とゴメンですね。



曲ができたら、後は歌。東山さんは「らぶこーる」を歌えそうということが前提で決定になった人なので、歌は最初から全然心配してなかった。


レコーディングはかのん編の曲群の最後の最後に行われ、ボクももちろん立ち会いました。ボクの隣りに座っていた松田Pが「もう最初の1声目で涙出そうでしたよ」と。感動家の松田Pのみならず、ボクも聴きながら熱いものを感じました。かのんのピンナップを譜面代に貼り付けて歌う東山さん。自分が歌詞を書いたとはとても思えない、もう恥ずかしくも何ともない、本当に素晴らしい曲が生まれていました。これでかのん編のラストは大丈夫だ、と確信しました。そして、実際かのん編のラストは皆さんがご覧になった通りです。



安心したボクは、幸せな気持ちで、スタジオでかのんちゃんのインタビュー記事を書いていましたとさ(特典で付いてるヤツね)


 


(おまけ:スタジオでの会話)


ボク「だからね、私はアイドルって宣言をして、重荷を背負って、最後にアイドルを捨てるってのはデヴィッドボウイが昔やったんだよ」
東山さん「はぁ」
ボク「だからね、この「らぶこーる」ってのはアルバムのなかでは「ロックンロールの自殺者」的なポジションなんだよね。この「Birth」は「ジギースターダスト」みたいな展開なの。まあ、映画の方ね。」
東山さん「はぁ」
ボク「そういう意味では、「らぶこーる」ももっと静かな始まりでもいいかもしれないよね!ギター1本で歌うみたいなさ!」
東山「はぁ」
ボク「それでね・・・・・」
甲さん「それじゃあそろそろレコーディングやりますか」
東山さん「は〜い!よろしくお願いしまーす!」

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3/9:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その6

<今日はサンデー発売日・・・ですが、神のみは休載です。すみません。連載の話をしようと思ったけど、もうこの際だから、Birthレビューを先に終わりまでやらせてもらいます。>



7・想いはRainRain


ハッピークレセントの爆発の後は、モノローグで切ない片思いソング。


この曲はデモ選びの段階では候補に挙がってなかった曲を、ボクが特にプッシュして入れてもらった作品。やっぱりアルバムなんだから、アルバムでしかできない曲・・・ということで、この曲を入れてもらおう!と、ずっと狙っていたのだよ。


ボクのプッシュは栞のキャラソン「口笛ジェット」に続いて2曲目。どちらもとてもメロディが美しいミディアム曲だけど、何とどちらも渡辺翔さんの作曲。ボク、よっぽど好みなんだろうね。ちなみに、マギカのOPやってるよ。


そして、これがかのんのソロ曲としては最後に録音された曲になりました。


最後の収録だからということで、このレコーディングには参加させてもらった。「らぶこーる」以来で、アルバム用の収録には初めて言ったんだけど、東山さんの歌がすごく力強くなってることにビックリ。この「Rain Rain」は静かで、アレンジの後押しがなくてとても難しい曲だけど、一つも気負わずに自然に歌ってた。アルバム収録に入ってからの東山さんはひと味違う。4曲で終わるなんて、残念だ・・・。


収録はつつがなく終わったんだけど、


ボクと松田さんがセリフ論争が熱かった。
曲中のかのんちゃんの一言のセリフ。


「この"バカ"ってどういうバカだ?」


ボク「ここは"バカ(口まね)"かな」
松田P「いや、ボクはもうちょっと・・・"バカ(口まね)"じゃないですかね」
ボク「ちょっと待って待って、今シミュレーションします!」
松田P「ボクはどっちか言うと"バカ"かなぁ・・・」




ボク&松田P「じゃあ、ここは友達以上恋人未満の相手と雨の日に偶然出会って、成り行きで相合い傘になっちゃって、最初は何か言い合い的なことやってんだけど、女の子の方はときめいているんだよ!でも、相手の男が全然それを感じてないようなこと言うのさ、そしたら、ふと距離が離れた瞬間に聞こえるか聞こえないかぐらいの感じで「バカ・・・」って言って、相手の男が「ん?今なんて言ったの?」と聞き返す的な感じってことだよ」
甲さん「・・・・・・」


みたいなやりとりがあったようななかったような。このセリフ話は第2期用のレコーディングで更に熱くなるんだが、それはまた別の話。



でも、ホントにこの曲はよかった。選んでよかった。収録の後で、松田Pに聞いたら、東山さんの一番のお気に入りの曲がこの曲だったそうな。


松田P「その話、先生が聞いたら喜ぶよ」
ボク「この曲、ボクが選んだんですよー」
東山さん「本当ですか〜?私、デモを聞かせてもらった時から、この曲いいな〜って思っていたんです!」
ボク「嬉しいな〜綺麗で良い曲だよね!」
東山さん「私も好きです!」
ボク「こういう主題歌のギャルゲーがやりたいよね」
東山さん「(絶句)」


18才の限界。こういうやりとりがあったようななかったような。東山さんはボクのギャルゲー話には基本絶句なんだ。

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3/8:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その5

連載の本編の話は明日にします。



5・ウラハラブ


アルバム用の新曲。アイドルのアルバムには、「こういうのもチャレンジしてみました」みたいな、ノベルティソング・・・というか、「○○風」の曲が入ってるものです。この曲は古いミュージカルのような、歌詞も曲も小粋な曲。かのんちゃんの表情豊かな歌が楽しめます。


このアルバムの感想を聞いてると音の良さの話をよく耳にしますが、この曲も生のストリングがダビングされた完成バージョンをスタジオ聴いた時の美しさがとても印象的でした。全ての音域にスキマ無く音が広がってたり、声優さんの声のテクスチャを全面に押し出たものではない、真っ正面からの歌モノ路線が多い、神のみの曲です。原作は変化球ですが。


 


6・ハッピークレセント


そんでもって、6曲目はかのんちゃんのアンセムソングになった「ハッピークレセント」。色々関わって、ハラハラもしたかのん編の最後に流れるこの曲は再放送で見ても、涙なしでは見られないですな。


この曲は、デモの時点ではここまでのパワーはまだなかった。


選曲の時に聴くデモは、アレンジもとりあえずだし、さらに歌まで無かったりする曲が多いので、完成形とは全然違ったものになっているものが多いのです。「YES-TODAY」なんかはデモは全然違うし、「ALL 4 YOU」なんかは元々は「LOVE KANON」を想定して作られいて、デモの曲中には「LOVE KANON」という歌詞まで入っていたし(逆に「コイノシルシ」なんかは歌詞までデモと同じというスルーパスぶり)。


そういう意味では、この曲はボクの印象では「なかなかキャッチーな感じだなあ・・・」と最初も悪くはなかったんだけど、それがアレンジを経てパワーをチャージされ、さらにzoppさんの歌詞!甲さんも仰ってましたけど、「はぴはぴはぴくれせんと〜♪」ですから。これを最初字面だけで見た時の衝撃。さすが「抱いてセニョリータ」を書いた人だ・・・!


これでまるで違う曲に生まれ変わった。不安になるぐらいのパワフルなオケだったんだけど、これに東山さんの歌が付くと、怒濤の勢い。あの歌詞も全然これでよかった。曲ってこんな風に作るんだなぁ・・・と目を瞠ったものです。

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3/7:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その4

4・ALL 4 YOU


かのん編の挿入歌で、かのんちゃんのソロデビュー曲として作られた曲。制作順としても、これが1番最初に作られたソロ曲。



作中でも「ALL4YOU」と「ハッピークレセント」は登場してくるけど、アニメにおいては"「ALL4YOU」はストレートなアイドルソング!それがヒットしたのでさらに力を入れて勝負してきた曲が「ハッピークレセント」・・・"という設定をまず作っておいて、まず「ALL 4 YOU」は「裸足の季節」みたいな夏の香り漂う、ドが付くほどの80sアイドル曲になりました。僕的にはここでラテンのリズムをかましてくれたら更に80s最高だったけど、さすがにそこまではしないか。ここで作詞のzoppさんも初登場されたんですが、歌詞を見て二人称が「あなた」じゃなく「君」だったことに、「時代は変わったな・・・」と変なしみじみ感を感じてしまった訳ですが・・・ま、それはいいとして。



この曲ができた時は、まだかのん役のキャストも決まってなかった・・・・。



とにかく、かのん役のキャストは条件が厳しかったなぁ・・・。アイドルからスターになるストーリー、ということはアイドル路線の曲もアーティストっぽい曲も歌えて、しかも当然演技もできる。さらに、ライブの可能性があるのでCDから出てくる歌だけじゃなくって実際に歌える人(微妙な言い方)!こんな人早々いないって。



仮にそういう人がいたとしても、既に契約でキャラクターで歌うことに制限がある可能性もある・・・という大人の事情もあったりしてね。僕のなかでは「超スーパー大物キャストか、さもなくば新人!」という感じだったんだけど、とにかく難航した。歌手モノってこんなに大変なのか・・・と初めてのアニメの現場で思い知らされましたよ。



そこで時間ギリギリで、この人はどうだ?というので現れたのが、東山さんだった。とにかく東山さんは歌がしっかりしていました。それが松田P、監督の決め手になった模様。何より大事だったのが「らぶこーる」を歌うことだったので。この人なら「らぶこーる」を歌える!ということで、今日決めなきゃアウト!という最後の打ち合わせの日にえいやあ!と決まったのでした。



その東山さんの最初のテスト歌唱に使われたのが、「コイノシルシ」「ハッピークレセント」「ALL4YOU」だった。東山さんのアイドル的な歌い方に関しては未知数だったんだけど、とにかく練習熱心な東山さんなので、最初から既にかなりのアイドルの歌い方をものにしてきた。かなり過剰にw そこから松田さんと甲さんが色々模索し、かのんのソロに先駆けて行われた「コイノシルシ」のレコーディングの時には僕も参加して、みんなで色々相談しながら、アイドルで素朴で歌が好きなかのんちゃんを見つけていきました。ここでの東山さんの柔軟さというか、指示をすぐに歌に反映できる力に関しては、もう何度か言ったかも知れないけど。新人でもこんなに何でもできるんだなあ・・・と、声優さんの力にビックリしたもんです。「コイノシルシ」の時点でもう、かのんちゃんの歌い方には、個性があった。



そして「コイノシルシ」の次がこの「ALL4YOU」だったんだけど、もう心配はなかったね・・・・。まあ、練習しすぎて声がでなくてレコーディングキャンセル、なんてことはあったものの〜!

wakakitamiki * かのんBirth全曲レビュー * 23:40 * - * - * pookmark

3/6:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その3

3・YES-TODAY


3曲目はアルバム用新曲。


かのんちゃんのアルバムを発売するというのは、アニメが始まる前から会話の端々で出てきたんだけど、僕のなかでは正直「ホンマかいな」という感じもした訳で。だって、かのんちゃんは原作でもレギュラーキャラという訳ではないしね。1期の構成でハクアの登場が阻止されてしまったとは言え、かのん推しが過ぎないか、松田さん?・・・と作者にあるまじきことを思っていたんですよ。


ところが、かのん編だけでも挿入歌5曲も作ってしまった。とにかくかのん編は、シナリオの打ち合わせの脱線ぶりがすごくて、色々な人が「俺のアイドル論」みたいなのをとくとくと語り合うという・・・青春話になっとった。要は、みんなただ単にアイドルが好きだったのだね・・・。


しかも、それが受け手側からも反応があった。秋葉原UDXのかのんイベントの満員札止めの盛況ぶりには僕自身驚いたし、かのんというキャラ、アイドルという存在を甘く見ていたとしか言いようがない。アルバムに関しては最初からボクも頑張るつもりだったけど、UDX以来、この勢いを消してはいけないというキモチもあって、より力が入りましたです。それはスタッフさんみんなそうだったでしょうけど。


アルバム用の選曲に関しては、まず大量のデモが用意されて、それにまず松田さんたちジェネオンの方々が「これがいいかも」という曲をチェック。そのチェックされた曲を僕が聴いて、更にチェックして、双方が選んだ曲を採用・・・という形で選ばれました。


これは僕のチェックの時間を省略するという気配りがあったのですが、貧乏性の僕は無印も含めて全部のデモ曲を聴きました。2期全体の曲選びも兼ねていましたけど、100とか150じゃきかないデモの曲数。でも探せばあるんだ。1期でも栞の「口笛ジェット」が僕が推薦でしたが、Birthでも僕が無印の曲をねじ込んだのが1曲あります。



そのなかでも、この「YES-TODAY」は松田P、僕、さらに神のみのスタッフの間でも評判のよかった満場一致の曲。確かに、誰にでも好かれそうな、キャッチーで、とにかくアガる曲。


この曲はアルバム用の新曲のなかで一番最初にできあがった曲なんだけど、かのんちゃんの歌が入ったラフミックスの、東山さんの変貌にビックリ。歌い方も途中のセリフも、自然で、堂々としていて、一度ストーリーを演じると違うんだなぁ・・・・と。東山さんのポテンシャル!この曲を聴いて、アルバムの完成がより一層楽しみになったよ。


この曲は間違いなくACEのステージでも歌われるでしょう!多分!

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3/5:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その2

2・LOVE KANON


インストに続いて、2曲目はアニメ本編でも使われた曲。


色んなところで言ってるように、かのんというキャラクターは僕的に80s文系アイドルのオマージュなんだけど、文系アイドルの条件というのは知性とか控えめさとか、空気感とか色々あるけど、総じて「オトナ好きする」というところに重要要素があると思う訳で、大人に可能性を感じさせる、素材感を感じさせる女の子。古くは太田裕美、斉藤由貴に、坂本真綾、最近は「文系」という感じは弱まったけど、木村カエラやPerfumeとかね。


できればかのんもそういうアイドルたれと思い・・・。


僕の想像としては、物語的には、まず「ALL4YOU」がデビューシングルとして発売されて、その次に「ハッピークレセント」とアルバムが同時に出るぐらいだろう。きっと、かのんのスタッフは、アルバムではシングル路線とは違って、かのんのアーティスト的な素質も見せようとしていくんじゃないだろうか・・・?ということで、アルバムの歌モノの最初はロック寄りの曲になりました。



この曲は数少ない僕からもアレンジ案を結構出した曲で、僕からの希望としては、「イントロからAメロは、ドキドキしながら、ステージに向かって走っていくような抑えた疾走感で!」みたいなアレンジ希望でした(具体的だけど、音楽的具体性ゼロのアイデア!)けど、アルバムのオープニングにふさわしいライブ感のあるアイドル宣言曲に作ってもらえました。



「BANG!BANG!」のかけ声は、多分、僕が「かのん」だからという理由で提案したものだったと思うんですが、アレンジ段階では「バン!バン!」と「バ・バーン!」と、2バージョンあってどっちが良いですかみたいな話になって、「ババーンだと拳銃みたいだから、バン!バン!がイイです。かのん砲って感じで」とメールした気がする。この歌詞を踏まえて、本編の方のかのん再登場ではかのんの振り付けが拳銃で観客席を撃つ・・・という感じになっておるのでありました。


実はこの曲にも僕が作った歌詞があって・・・ボツったw
これはもう門外不出w

wakakitamiki * かのんBirth全曲レビュー * 11:21 * - * - * pookmark

3/4:中川かのん「Birth」全曲レビュー・その1

かのんちゃんの1stアルバム「Birth」、もうお聞きになりましたか?


このアルバムはかなりボクも参加しました。せっかくなので忘れないうちに覚えていることを書いておきます。アルバムを聞く時のおともにどうぞ。



1・Date of Birth


冒頭のインスト曲。かのんちゃんのアルバムだけに、カノンをモチーフにした曲になっています。これは僕が昔ブログで書いた「かのんちゃんのアルバムってこういう曲目」という妄想セットリストの1曲目が「Opening」になっていたのに松田Pが合わせてくれて、プロローグで始まるようにしてくれたのです。


今までユニットでやっていたかのんちゃんが、一人のソロアイドルとしてのキャリアを始めるにあたって、そのファンファーレになるような曲を・・・ということで、「なんか、山下久美子の『リリス』のパグパイプみたいな」って僕は言ってたんですけどwすごく華やかなものになっていますね。



インストと言いながら、コーラスは全てかのんちゃん。


この曲のレコーディングは、アルバムのレコーディングの最後の収録の最後の最後に行われたのですが、その収録のスピードたるや驚愕の一言。


こういう収録は、元合唱部の東山さんの真骨頂という感じで、まずは東山さんが正確な音程とトーンで、メインのメロディをすいすいと入れてく。そして、そのメロディに厚みをつけて一人で合唱しているように聞こえるよう、同じメロディをさらに何回か歌う。


それだけでなく、そのメインのボーカルを順序を入れ替えながら、メインの声の後ろの方にダビングしていくんです。そうするとさらに厚みが出る。これ、昔なら、テープでしこしこやるんでしょうけど、今はデジタルレコーディングですから、PC上で波形をコピーペーストしてできる訳ですよ。


しかも、それを東山さんが収録してる最中にやる!これがすごい。メインのボーカルが収録されてる後ろから、エンジニアの松尾くんが、次々追っかけでボーカルを編集コピー・・・収録と編集が同時進行!まさにデジタル技術の驚異。膨大なトラックが瞬く間に埋まっていく様子は、まるでシルシルミシルの工場見学(おお、全然関係ないけど、シルシルミシルのOPってリリスだね)。僕のレコーディング知識ってビートルズで止まってるんで、ほんと面白い。誰もテープにグリス塗ったり、テレコ繋いだりしてなかったよw。しかも、これだけの作業なのに、ディレクターの甲さんとエンジニアの松尾くんはそんなに話をしないんだよ。お互いやりたいことわかってる。まさに阿吽の呼吸。プロだよ。職人だよ。こんな仕事場に、ボクもしたいよ〜!


そして、その収録の結果はお聞きの通り。素晴らしいですよね。



ちなみに、ボクも最後の収録に出席したので、手拍子で参加させてもらいました。最後の手拍子は東山さんと松田P、そして僕がやってます。僕手拍子とか咳払いとかSE参加中心。

wakakitamiki * かのんBirth全曲レビュー * 10:50 * - * - * pookmark
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